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映画、「この世界の片隅に」感想+ネタバレ追記

事前知識が殆どない状態で、鑑賞しました。知っていたのは、「評価が高い」と「アニメ」だけ。まさか戦争映画だったとは…



基本情報


原題 この世界の片隅に
英題 In This Corner of the World
タイプ ドラマ
公開年 2016/11/12
監督
片渕須直
原作
こうの史代
出演者
のん, 細谷佳正
公式サイトURL http://konosekai.jp/
おすすめ度 5 (1~5点)


ストーリー


絵を書くことが大好きな主人公すずの子供時代の回想から始まります。1944年に18歳の若さで、知らない人ばかりの呉に嫁ぎ、身体の自由が利かなくなった義母の代わりに主婦に、近所づきあいに、食べ物のやりくりにと、奮闘します。
そして1945年、絶え間ぬ空襲、灰と化してゆく市街、ますます少なくなっていく配給、大切なものがどんどん失われていき、終戦を迎えます…

感想


涙もろくて、泣き所がない映画でも泣いちゃうのですが、この映画は途中で涙が引っ込みました。
涙が出るとかじゃなくて、青ざめて、ぐったりなった感じです。

この説明じゃ、名作な感じがしませんが、名作です


ホラー、グロ、戦争ものは、苦手なので、あまり見ません。
この映画の様に、ほのぼのとした雰囲気の話で、つらい話を進められると、みていられなくなります。


子供の頃の回想からスタートし、1945年の広島、呉へとストーリーが進みます。
主人公すずが書く絵日記に沿って、日付が表示されます。
伏線が多いストーリーです。
はっきりと語られることはありませんが、わかるように少しずつ回収されていき、よくできています。
くすくすっと笑ってしまうようなエピソードがちりばめられていますし、じんわり暖かいラブストーリーでもあります。
しかし、やはり根底にある暗い背景から、手放しにあっけらかんと笑っていられる感じでもありません。


中盤からは、広島や呉で何が起きるか想像できてしまうことで、伏線がなくとも厚みをもってストーリーを追うことになります。
私はこの辺りから、涙が引っ込んで、青ざめっぱなしでした。
何とも酷です。


終盤にかけて、主人公が、心の底を言葉で表現するようになります。
そうやって、最後の伏線が回収されたときには、もうぐったりしていました。
それでも、おススメなので、「名作」という他に言葉が見つかりません。






ひ、ひどい話でした。
ひどい話なのは、「戦争」です。


主人公の「すず」は、心優しい女性です。


おっとりしていて、思いやりがあって、ポジティブで、まさに理想的な女性です。
嫁ぎ先でも周囲から大事にされます。


「ぼんやりしている」と思われているらしいですが、終盤に全然ぼんやりしているわけではないことがはっきりわかります。


「ぐっと我慢している」部分も多いんですね。
そのあたりは、嫁ぎ先で「ハゲができる事件」などで表現されています。
口に出さないだけで、ストレスは感じているのです。
大好きな絵を書くことで、気が紛れていますが、問題がなくなったわけではないことが伝わってきます。
その辺りもちゃんと周囲にも伝わって、愛され、ケアして貰えるんです。


但し、戦争の悲劇には、周囲のサポートも無力です。


戦火の中、右手と一緒にいた姪っ子を失います。
右手を失ったことで、絵を書くことができなくなり、自己表現の手段を失います。
そして、ぐっと我慢しないで、言葉で表現することができるようになります。


結果として、ずっと言えなかった事を口に出して、夫婦喧嘩などもできるようになるのです。
複雑な心境です。


ラブストーリーとしても秀逸です。
奥ゆかしいというか、もどかしい感じがまた、2人を応援したくなります。


最後にすずは、自分の居場所というか、居たい場所を見つけます。
なんともうらやましい。


記憶が定かではないのですが、すずは2度、里帰りします。
1度目は、嫁ぎ先でストレスを抱えている時で、現実に起こっている事を「嫁いだ夢」と思い込んで、目が覚めてほっとした感じの寝ぼけエピソード。
2度目は、嫁ぎ先への帰り道に、「嫁いだ今」が夢だったら、覚めてほしくないとの発言。


これは強力です。
散々悲劇に見舞われた後、全てを飲み込んで、なおこの現実を続けたいとは…
間違いなくハッピーエンドなんです。
でも、複雑な心境。
だから、戦争ものは嫌なんだ…
ぶつぶつ。


最後の最後に、女の子を拾って帰ります。
すずは、姪っ子を連れて、義父のお見舞いに行った帰り、手を繋いでいた姪を右手と共になくします。
そして、どうすれば彼女を失わずに済んだのか、失わずにすむ方法はなかったのか?
反対側で手を繋いで、自分が死ぬ側にいればよかったのに…
そんな風に考えます。


拾ってきた女の子は、まさに反対側で手を引かれて、母親らしき人を失った戦争孤児だったことが伺えるシーンがあります。
この頃は、いろいろな理由で家族を失った人が大勢いて、身を寄せ合って暮らしていたのかもしれません。
いつの間にか、食卓におばさんが一人増えていましたし…


エンドロール1で、その後の家族の様子、謎のエンドロール2では、(後に迷い込んだ遊郭で出会う)座敷童の人生もうかがえます。


一緒に観に行った友人が、「エンドロールを最後まで見る派」というのもあるでしょうが、久しぶりに最後の最後まで鑑賞しました。
本編が終わっても、「よっしゃ~。帰るか!」なんて気分にはならない、余韻が残る作品でした。





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映画、「ジュリー&ジュリア」感想

「クレイマー、クレイマー」のメリル・ストリープからのハシゴです。若かりし頃のメリル・ストリープは、儚くて、弱くて、自信がない役を好演していましたが、最近のメリル・ストリープは、「強い人」の代表みたいになっていますね。でも、本作、見どころはなんといってもエイミー・アダムス!かわいぃぃ~~。セクシーなドレスを着ても、セクシーなメイクと表情でも、なんかかわいい!それがエイミー・アダムス。本作ではそのかわいさを十分ご堪能いただけます。

基本情報


邦題 ジュリー&ジュリア
原題 Julie & Julia
タイプ ドラマ
公開年 2009-08-07
監督
ノーラ・エフロン
脚本
ノーラ・エフロン
出演者
メリル・ストリープ, エイミー・アダムス
公式サイトURLhttp://bd-dvd.sonypictures.jp/julie-julia/
おすすめ度 5 (1~5点)


ストーリー


29歳の働く女性ジュリーは、小説家を志していたが、現状はつまらないOL生活。友人たちの成功を知り、落胆し、そして奮起する。
そして、憧れの料理研究家ジュリア・チャイルドの524のレシピを365日で作るという壮大な目標を立て、その様子をブログにつづる。

ジュリーの憧れの対象ジュリア・チャイルドは、夫の海外赴任でパリに渡り、フレンチに魅了される。名門料理学校ル・コルドン・ブルーに入学し、冷たい周りの反応にも負けず、食への情熱をたぎらせ、困難を乗り越えていく。そして、ジュリーが50年後に挑むことになる524のレシピをまとめた料理本を出版する。

2人の女性が奮闘する様子が交互に入れ替わりながらストーリーが進行する。


感想


この作品の主人公は、ジュリー(エイミー)であり、ジュリア(メリル)でもあるのですが、私にも自分にはできないと諦めてしまったことがある為か、ジュリーの目線により共感できました。夢をかなえて嬉しそうにしている友人と自分を見比べて、自信を無くすことって、ありますよね。うんうん。

ジュリーもそんな煮詰まったというか、閉塞感を抱えてがっかりしてしまっていて、それがなんだか身につまされました。
ジュリアも落ち込んだりしていましたが、なんというか、とてもパワフルな女性って感じが最初から伝わってきて、心配しなくても成功しそうだね…ってスルーしてしまいました。

ジュリーが凄いなと思ったところは、その目標の高さです。
「365日で524レシピを制覇する!」って、現実的に考えて厳しくないですか?
料理って、道具をそろえたり、材料をそろえたり、手順を頭に入れたりと、大変じゃないですか?

一般的な主婦が、どのくらいの頻度でレパートリーを増やすのかわかりませんが、割と同じものを繰り返し作るわけですよね。平均すると毎日1品以上の新料理に挑戦し(しかもフレンチ)、更にブログに書くって、仕事しながらやる事じゃないですよね。勢いとはいえ極端だよ~~っと、思いました。

仮に私が料理嫌いじゃなかったとしても、目標設定の時点で、週に1レシピ、10年ぐらいかかりそうです。あはは。

まぁ、こういうところが凡人と凄い人の差なんでしょう。
元々小説家を目指していたぐらいだから、書くのも得意で好きだったのでしょうけれど、人気が出て映画化されるまでになって本当によかったね!!って、心から思えます。

私自身、昨年あまり深く考えずにブログを始めて、1年継続できた時には自分でもとても驚きました。特にテーマがあるわけでも、人気があるわでもない、ひっそりとした雑談ブログですが、続けられたこと自体に励まされたというか、自信につながりました。そういう意味でもとても共感できる作品でした。

ちょっと自分に自信を持てなくて落ち込み気味な人にオススメです。
自分なりの何かに挑戦してみたくなるかもしれません。

映画、「クレイマー、クレイマー」感想+ネタバレ追記

この映画は、子供の頃、子供の立場で観た映画です。テレビで繰り返し放映していました。「クレイマー、クレイマー」が「Kramer vs. Kramer」という親権を争う裁判名であることを知ったのはずっと後になってからです。そのころから30年以上たってもずっと覚えているということ自体が驚異的です。親になったことがありませんから、親の立場では書けませんが、大人になった立場でみなおしてみました。

基本情報

邦題 クレイマー、クレイマー
原題 Kramer vs. Kramer
タイプ ドラマ
公開年 1979/12/19
監督
ロバート・ベントン
脚本
出演者
ダスティン・ホフマン, メリル・ストリープ
公式サイトURL
おすすめ度 5 (1~5点)


ストーリー


allcinemaより引用;
  テッドとジョアンナの結婚生活は8年目を迎え、一人息子ビリーも7歳となったクレイマー家。ジョアンナは、かねてより家庭を顧みず仕事優先の生活を送るテッドに不満を募らせていた。そしてある日、ついに彼女は自立を決断し、家を出て行ってしまう。一転して妻に任せっきりとなっていた家事と仕事の両立をせざるを得なくなったテッド。しかし始めは覚束ないものの、次第に2人の生活にも慣れ、これまで以上に父と子の絆を強めていく。だがそんな中、ジョアンナが突然養育権を訴えてくる。失業したことも重なってテッドに不利な形で裁判が進み、養育権はジョアンナ側に。こうして、テッドとビリーは父子最後の朝食を迎えるのだが…。



感想

メリル・ストリープ、若っつ!ダスティン・ホフマンも、若っつ!
1979年の作品で実に37年も経っているのに、ストーリーとして色あせていないところが凄いです。普遍的なテーマを扱っているからでしょうか?

いや、その頃の時代背景を知っているから懐かしく思うだけで、今の10代、20代の人にはピンとこないのかもしれません。

この40年で女性の労働環境が大きく変わったように思います。社会進出できなかった女性が、社会進出しやすくなったと思われますし、結婚後は「専業主婦」というコースは一般的でなくなったように思います。更には、「専業主婦」を望む女性も、働かざるを得ない環境にあるともいえるかもしれません。

メリル・ストリープ演じる5歳児の母親ジョアンナは、周囲に期待されるロールを全うするのが負担になり、愛する子供を置いてまで家を出てしまいます。家を出るのを止めるダスティン・ホフマン演じる夫・テッドに、「Don't make me go in there. If you do, I swear, one day, next week, maybe next year, I will go right up to the window.」と言って振り切ります。この言葉の前までは、テッドは事の深刻さを理解しておらず、いつものようになだめられると思っていたんですね。

かなり切羽詰っていますね。これ以降はネタバレ編に書きますね。



ストーリーは二人の間の溝(というか大河)を浮き彫りにするところから始まるのですが、追い詰められたジョアンナと、全く理解することができなかったテッドが非常に対照的に描かれています。

仕事人間だったテッドは、ビリー(子供)中心の生活に切り替えるのですが、うまくいかない部分も多く、大人気なく怒鳴りつけちゃったり、喧嘩しちゃったり、しながらコミュニケーションを深めていきます。これは、ジョアンナが出ていかなければ、起きえなかっただろうと思われるので、災いが転じて福となっている最も大きな部分でしょう。

学芸会へいったり、
自転車にのれるようになったり、
ジャングルジムから落ちて何針もぬったり、
そして、有名な「フレンチトースト」。最初は酷いありさまだったのですが、ビリーが家を出なければならない朝は、呼吸ぴったりのチームワークです。


仲直りのシーンで、ビリーが「僕が悪い子だったから、ママは出ていっちゃったの?」的なことを聞きます。それに対してテッドは、ビリーにこう説明します。

「ママは君のことをとても愛しているよ。パパがでも長い間ママを理想の型にはめ込もうとしたのだけど、ママはそんなタイプじゃなかったんだよ。ママはパパを幸せにするためにすごく頑張ったんだよ。でも難しくて話し合おうとしたんだけれど、パパは仕事が忙しいって、自分の事ばっかりで、聞こうとしなかったんだ。」

「パパが幸せだったら、ママは幸せなんだと思い込んでいたんだよ。でもママは実はすごく悲しかったんだ。」

「ママがこれまで家を出られなかったのは、君をとても愛していたからだよ。でもとうとう耐えられなくなってしまったんだ。だから君が原因で家を出たのではなく、パパが原因で家を出たんだよ。」

なんだか凄いです。
大人扱い?というか、ちゃんと向き合っていますね。
そして、ビリーが「Dad, I am sorry.」とか「Dad, I love you.」とか、そういう事を言うたびに、そういう文化なんだとは分かっていても、そのコミュニケーション力の高さに感動します。「ごめんなさい」はあっても、両親に「愛しているよ」なんて、言ったことがないですから。



そして、ジョアンナがニューヨークに戻ってきます。ジョアンナから語られた家を出た理由というのは、「これまでの人生ずっと誰かの母で、妻で、娘で…自分が何者かわからなかった。カリフォルニアに行って、自分を見つけて、仕事も見つけて、自分にもビリーを養えることがわかった。そして自分にとって何が最も大切かがわかったの…」と、親権を主張します。

裁判の開始ですね。タイミング悪くずっと子供との生活を優先してきたテッドは職を失ってします。

火事場の馬鹿力??
凄い強引さで、給与減も飲み込んで、クリスマス前のそぞろな時期になんとか仕事を見つけます。戦うパパです。

裁判は、お互いの悪いところを指摘しあう消耗戦です。テッドは残念ながら負けてしまい、費用がかかろうとも上訴する気満々でいたのですが、弁護士から「子供を法廷に立たせて証言させましょう」との提案に、断念します。

ジョアンナの友人マーガレットが、いつの間にかテッドの友人マーガレットに変わっていくところもジーンとします。徐々に信頼関係を気付いていき、裁判ではテッドとビリーの素晴らしい関係をジョアンナに伝えようとします。よよよ。

そして、ジョアンナがビリーを迎えにくる朝、ジョアンナは、ビリーの「家」は、既にあったことを受け止め、一緒に暮らすことを断念します。ジョアンナが一人でビリーに説明に行くところでエンディングです。お互いに折り合いがついた瞬間です。


この映画に対してずっと抱いてきたイメージは、「悲しい話」だったのですが、見返してみると、妻にとっても、夫にとっても、自分にとって大切なものは何か?を知り、それを大切にすることのきっかけとなったベストエンディングだと思えるようになりました。

映画、「バニラ・スカイ」感想+ネタバレ追記

キャメロン・ディアスとペネロペ・クルスが共演した別のスリラー映画へハシゴです。主人公がトム・クルーズのこれまた豪華キャストです。明るい男トム・クルーズのイメージが崩れるかもしれません。ある意味イケメンを捨てた演技も見所です。そしてストーリーもキャストに負けていません。おそらく全く知らない役者さんたちでも同じように観はまっただろうとおもいます。

基本情報


邦題 バニラ・スカイ
原題 Vanilla Sky
タイプ スリラー 
公開年 2001-12-10
監督
キャメロン・クロウ
原作者

出演者
トム・クルーズ, キャメロン・ディアス, ペネロペ・クルス
公式サイトURL
おすすめ度 5 (1~5点)

ストーリー


ウィキペディアより引用;
殺人容疑で逮捕された仮面の男・デイヴィッドと、精神分析医マッケイブの取り調べ室での会話を軸に、ストーリーは進む。
出版界の王様と言われていたデイヴィッドの父・デイヴィッド シニアが交通事故で死亡し、父の経営する大手出版社の株式51%を引き継いだ、富豪で若き実力者でプレイボーイのデヴィッドは、自分の誕生日パーティーで親友・ブライアンの恋人のソフィアに一目惚れしてしまう。それに気付いたデイヴィッドのセックスフレンド・ジュリーは、嫉妬のあまり彼と共に自動車事故による無理心中を図ろうとするが未遂に終わった。
運転していたジェリーは死亡、助手席にいたデヴィッドも重体であった。3週間の昏睡状態から目覚めると、事故のせいでハンサムな彼の顔は見るも無惨なものになってしまった……。この事故を契機にデヴィッドの部下の7人の老いた重役達は、会社を乗っ取ろうと策略するが、醜くなった顔のせいで、デヴィッドの性格も段々と歪んでいく……。

感想


兎にも角にもストーリーが秀逸です。交通事故の前と後で、外見(=顔)が大きく変わってしまったのですが、この事故が原因で内面もまた破壊的に大きく変化します。

ある事柄が一つの結果を生み、その結果が原因に転じて次の結果を生み…と連なりながら話が進む中で、この内面の変遷と外部環境の変化が連動しています。

観ている方としては、「そっちへ行ってはいけない感」を感じながら、ずぶずぶと深入りし、袋小路にはまっていく主人公を無力感と共に鑑賞するしかありませんでした。


この映画のとても凄いと思うところは、観る人によってかなり解釈が異なり、さらに自分の解釈を披露したい人が多かった点です。映画好きにも、語りたがる人とそうでない人がいますが、普段は自らの解釈を披露したりしない人達までが、ああでもない、こうでもないと、意見交換をしているのを見て驚いたことを、映画の内容よりもよく覚えています。(飽くまで私の周囲ですが…)

「話題作」って、こういう事なんじゃないかな?

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